発行日 2009年6月1日
Published Date 2009/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2009241364
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51歳女。左背部の腫瘤で初診し、X線で肩甲骨体部に石灰化を伴う破壊像を、MRIおよびCTでは破壊された骨病変に隣接して軟部腫瘍を認めた。切開生検で軟部腫瘍は高分化型脂肪肉腫、骨病変は骨軟骨腫と考え、広範切除術を施行した。骨病変は軟部腫瘍と被膜を共有しており、一塊に切除した。摘出標本の病理所見で、軟部腫瘍は異型性のない成熟した脂肪組織から成っており、脂肪腫と診断した。骨病変は骨形成を伴う軟骨細胞の増生を認め、軽度の異型性と一部骨梁間への浸潤があり、低悪性度の軟骨肉腫と診断した。以後経過観察していたが、術後6年頃より左肩甲骨部の疼痛が出現し、X線で斑点状の石灰化を伴う肩甲骨の広範囲な破壊像を認め、MRIでは境界明瞭な軟部腫瘍も認めた。軟骨肉腫再発の診断で切除術を施行し、腫瘍と共に肩甲骨は全摘出した。病理組織所見より低悪性度の軟骨肉腫と診断し、脂肪腫が被膜を介して混在していた。再手術後3年経過し、局所再発、遠隔転移はない。
©Nankodo Co., Ltd., 2009