発行日 2010年7月1日
Published Date 2010/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2010269568
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症例は45歳女性で、18歳頃から右大腿遠位内側の痛みを自覚し、10年前に右内側広筋内の腫瘤を摘出され、8年前に右外側広筋内の腫瘤を摘出され、血管周皮腫、グロムス腫瘍と診断された。その後、大腿骨遠位外側に圧痛点を自覚し、右下腿近位内側に有痛性腫瘤が生じた。また、右膝窩部に自発痛・圧痛を感じ、疼痛のため膝関節深屈曲が不可能となった。下腿近位内側皮下に直径15mmの腫瘤を触れ、圧痛があった。膝関節を最大屈曲させると膝窩部に疼痛が誘発され、蹲踞姿勢から立ち上がることが困難であった。MRIで大腿遠位外側、膝窩部の圧痛点に一致し腫瘤が描出され、T1強調画像で低信号、T2強調画像で高信号を呈した。ガドリニウム造影では非特異的所見を示した。大腿四頭筋は萎縮し、大腿直筋と外側広筋遠位部はT1、T2強調画像で脂肪と同程度の信号を呈し脂肪変性を示唆した。多発グロムス腫瘍を疑い切除生検を行い、多発グロムス腫瘍と診断した。術後41ヵ月、蹲踞姿勢からの立ち上がりが可能となり、MRIでは大腿直筋と外側広筋の脂肪変性に著変はみられない。
©Nankodo Co., Ltd., 2010