発行日 2010年7月1日
Published Date 2010/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2010269563
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症例は50歳男性で、左上腕を壁にぶつけ、上腕骨病的骨折とされた。左肩に著明な安静時痛、腫脹を認め、関節可動域(ROM)左肩関節の前方および側方挙上90°、左肘関節ROM20°~140°であった。血液検査ではIgG、IgAの僅かな上昇を認めた。単純X線、CTで左上腕骨頸部から近位1/3にかけ斜骨折があり、骨折部を中心に骨硬化、骨透亮像の混在を認めた。内側部は骨皮質欠損を認めたが、骨膜反応はなかった。鎖骨外側部は欠損し、肩甲骨は下垂していた。骨シンチグラムでは左上腕骨骨折部に一致して僅かに集積を認めるのみであったが、ガリウムシンチグラムでは両上腕骨に集積を認めた。Langerhans細胞組織球症(LCH)の骨病変に伴う上腕骨病的骨折と診断した。病巣を掻爬し、骨欠損部に骨盤からの自家骨とβ-リン酸三カルシウムの人工骨を混ぜ移植した。術後2週から化学療法を行い皮膚病変、尿崩症の改善を認め、骨折についても術後5ヵ月、良好な骨癒合が得られた。
©Nankodo Co., Ltd., 2010