発行日 2008年4月1日
Published Date 2008/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2008178564
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23歳男。13歳時に右尺骨近位線維性骨異形成で手術を受けていた。今回、物を支えた際に右肘に激痛が出現し、受診時には右上腕遠位部の腫脹・疼痛・変形を認めた。X線で右上腕骨遠位骨端部に病的骨折を認め、骨折部には隔壁を伴った骨透亮像を認め、周辺骨皮質は菲薄・膨隆化し、石鹸の泡状陰影を呈していた。MRIではT1強調像で低信号、T2強調像で高信号の嚢腫状病変を認め、隔壁はT1・T2強調像とも低信号を示した。確定診断のため切開生検を施行し、病理所見は紡錘形細胞が密に増生し、その中に多核巨細胞が散見された。これらの間にはスリット状の大小の血管がみられ、出血やヘモジデリンの沈着を伴っていた。骨梁は非常に乏しかったが、線維性骨の形成を認め、線維性組織がdysplasticであったことより、線維性骨異形成と診断した。病巣は肘関節に接しており、強固な固定術は不可能で、副子固定のみとした。10週後に骨癒合を認め、肘関節可動域は伸展-30°、屈曲120°と若干の制限を残したが、回旋制限はなく職場復帰している。
©Nankodo Co., Ltd., 2008