発行日 2010年7月1日
Published Date 2010/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2010269560
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症例は63歳女性で、4年前、右下肢感覚鈍麻が出現し、徐々に体幹部までに拡大した。更に左下肢痛、左下肢筋力低下が出現し歩行障害を自覚した。春頃からは症状が増悪傾向となったため受診した。初診時、Th6以下の感覚鈍麻を認め、右下肢に感覚脱失があった。腱反射は左アキレス腱反射の亢進、両側Babinski反射陽性を認めた。筋力は左下肢で腸腰筋以下が徒手筋力テスト(MMT)で4と低下しており、Brown-Sequard型の脊髄症を呈していた。残尿感、尿漏れなどの膀胱直腸障害を認め、上肢を除いたJOAスコアは11満点中3.5点であった。胸椎単純X線で明らかな異常はなく、胸部MRIの矢状断像でTh5/Th6レベルで脊髄の急峻な腹側への移動、背側のクモ膜下腔の拡大を認め、水平断像では脊髄は腹側左側へ偏位していた。Th5/Th6レベルに生じた特発性脊髄ヘルニアと診断し、ヘルニア係留解除およびヘルニア孔拡大術を行った.最終診断時のJOAスコアは9点で平林法の改善率は83%であった。
©Nankodo Co., Ltd., 2010