発行日 2005年11月1日
Published Date 2005/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2006040978
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28歳男.左股関節痛および左臀部腫瘤を主訴とした.左臀部に10×9cmの弾性硬で可動性のある腫瘤を触知した.単純X線像では左臼蓋および大腿骨骨頭から頸部にかけて,辺縁に骨硬化像を伴う多発性の骨嚢胞像を認め,CTでは同部の骨侵食像を認めた.MRIでは,T1およびT2強調画像で低信号域を呈し,ガドリニウムで造影される部位は,ヘモジデリン沈着を伴った滑膜成分と考えられた.また,T1強調画像で低信号,T2強調画像で高信号を示す部位は混在する嚢胞成分と考えられた.生検で悪性所見はみられず,色素性絨毛結節性滑膜炎(PVS)と確定診断した.大臀筋下の腫瘤を切除し,関節温存を目的に滑膜切除術と骨欠損部への骨移植を行った.また,内側大腿回旋動脈の温存を試みたが不可能であり,PVSとともに切除した.術後2年6ヵ月時点で若干の可動域制限はみられるものの股関節痛はなく,骨頭壊死も認められない.本治療法は,活動性の高い若年者に対し,骨破壊の進行予防,関節機能の長期温存に加え,患者の高い満足度も得られる点からも有用である思われた
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