発行日 2011年5月1日
Published Date 2011/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2011226892
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2008年4月~2009年10月に人工膝関節全置換術(TKA)後に抗凝固療法を行った112膝を対象に、術前超音波検査で深部静脈血栓症(DVT)陽性例は除外し、フォンダパリヌクスを投与したF群71膝(男8膝・女63膝、平均63.1(41~82)歳)、エノキサパリンを投与したH群41膝(男4膝・女37膝、平均59.6(38~84)歳)に分け、両群を比較検討した。DVT発症率は術前4.4%、術後2日19.6%であった。抗凝固療法開始後の術後7日目のDVT発症率はF群8.5%、H群14.6%で、いずれも無症候性DVTであった。Dダイマー値(μg/ml)術後1日目にF群70.27、H群58.3、術後7日目にF群11.75、H群12.31で、各値の変化量ではF群が有意に低下していた。肝機能障害発生率はF群7.0%、H群19.5%で、F群の方が有意に少なかった。創部滲出変遷率はF群7.0%、H群17.0%で、F群の方が少ない傾向であった。著明なHb低下は両群に1例ずつ認めたが、手術部位以外の出血はなく、輸血により軽快した。
©Nankodo Co., Ltd., 2011