発行日 2009年2月1日
Published Date 2009/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2009159687
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症例1は53歳女性で、3年前から右環指近位指節間(PIP)関節の疼痛・腫脹を認めROM制限もあり、症状の改善がないためナカシマメディカル社製の表面置換型人工関節を用いて置換術を掌側アプローチで施行した。その結果、術後1年では疼痛はなくROMも良好で、X線像上でも弛みなど認めなかったが、術後6年のX線像では末梢コンポーネントの著明な沈み込みと中枢側ステム周囲の透亮像を認め、ROMも低下した。疼痛は認めず、機能障害を訴えないため現在経過観察中である。症例2は56歳女性で、2年前から左中指PIP関節の著明なROM制限を認め、疼痛と機能障害に対して症例1と同様に表面置換型人工関節置換術を施行した。術後1年2ヵ月経過の現在、疼痛は認めずROM制限は良好で、X線像上も弛みは認めず、患者の満足度は非常に高い。症例3は65歳女性で、2年前から左中指PIP関節に強い疼痛・腫脹と著明なROM制限を認め、X線像上基質骨に広範な骨透亮像を認め、炎症性疾患や腫瘍も考慮してA vantaシリコンインプラントを側正中切開挿入した。術後1年10ヵ月経過時点では疼痛は認めず満足度は高く、X線像上でもインプラントの折損や逸脱などは認めないが、ROMは屈曲・伸展共に不良である。以上より、Bouchard結節に対して通常は保存的治療が選択されるが、高度な場合には人工関節置換術も選択肢の一つになると考えられた。
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