発行日 2008年8月1日
Published Date 2008/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2008330960
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77歳女。自転車走行中の転倒で左大腿骨転子部骨折の診断で近医に入院した。以後1週間直達牽引を行い股関節ギブス包帯により固定した。他院へ転院後、股関節ギブス包帯をはずし入院1ヵ月余より左下肢免荷による車椅子移動を始め、その8日後リハビリテーション目的で当院へ転院した。受傷後7週の初診所見は左股関節痛を認め、左下肢伸展挙上は不可能であったが、つかまり立ちや部分荷重歩行はできた。単純X線像で左大腿骨転子部骨折(Evans分類でtype 1、group 3、不安定型)を認め、頸体角は120°で仮骨形成は認めなかった。ジクロフェナクナトリウムの坐剤25mgにより疼痛を軽減し、転院翌日より部分荷重歩行訓練を始めた。歩行器歩行から受傷10週よりT字杖による歩行を開始し、3日後に退院した。退院後もT字杖歩行をしていたが、左股関節痛に対し毎日ジクロフェナクナトリウムを使用していた。受傷後7ヵ月を経て単純X線像で頸体角は110°となり骨頭が小転子部へ陥入し骨折部全体に骨萎縮像を認めた。当初手術を患者が希望しなかったが、受傷後11ヵ月のX線像で左大腿骨頸内側骨折を認め、手術を行った。転子部骨折部に偽関節を認め、掻爬後骨切りし、近位大腿骨頭置換術を行った。術後股関節痛は消失し、歩行は安定した。
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