発行日 2005年2月1日
Published Date 2005/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2005140049
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90歳女.左股関節痛を主訴とした.痴呆,骨粗鬆症,胸腰椎圧迫骨折の既往があり,転倒後に主訴が出現して歩行不能となった.左大腿骨頸部骨折の診断でHanssonピンを用いた骨接合術を行い順調に経過していたが,術後1週の立位訓練開始当日夜から誘因なく左大腿近部痛が出現し,単純X線にて左大腿骨転子下骨折が判明した.骨折は遠位ピン刺入部を起始部として内下方へ及んでおり,内固定術施行後は痴呆の進行と誤嚥性肺炎のためにリハビリが進まず,長期療養型病院へ転院となった.自験例は健側大腿骨頸部の骨密度低下,骨吸収マーカーNTXの亢進を認めたことから既に骨の脆弱性が存在したと思われ,ピンの刺入によって骨の脆弱性が増し,荷重による応力が遠位ピンを介して刺入部に集中したため,大腿骨転子下骨折をきたしたと推察された
©Nankodo Co., Ltd., 2005