高齢者骨折に対する私の治療法
骨粗鬆症に伴う下肢の骨折 大腿骨頸部・転子部 高齢者大腿骨近位部骨折に対する遠位固定型セメントレス大腿骨ステムの有用性 いわゆるトラブルケース3例
中村 吉秀
1
,
菊池 明
,
秋田 護
,
藤 哲
,
森川 泰仁
,
越後谷 直樹
1弘前大学 大学院整形外科
キーワード:
X線診断
,
股関節部骨折
,
内固定法
,
骨ねじ
,
大腿骨頸部骨折
,
人工器官機能不全
,
股関節置換術
,
セメントレス人工関節
Keyword:
Bone Screws
,
Femoral Neck Fractures
,
Fracture Fixation, Internal
,
Hip Fractures
,
Radiography
,
Prosthesis Failure
,
Arthroplasty, Replacement, Hip
pp.148-152
発行日 2007年10月15日
Published Date 2007/10/15
DOI https://doi.org/10.15106/J04037.2008055158
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症例1:70歳女。転倒し左大腿骨頸部骨折を受傷し、初回手術としてテーパー形状セメントレスステムによる人工骨頭置換術を施行した。術後2日より全荷重歩行を許可したが、術後2週より疼痛が生じ、X線でステムの沈下を認め、術後16日には更に沈下が進行し、CTではステム遠位部にまで及ぶ螺旋骨折を認めた。初回手術中に生じた骨折と考え、遠位固定型セメントレスロングステムにて再置換を行った。術後20ヵ月現在、骨癒合は得られ、疼痛なく独歩可能である。症例2:83歳男。自宅で転倒し右大腿骨転子部骨折を受傷し、コンプレッションヒップスクリューによる骨接合術を施行した。術後1週より荷重歩行を開始し、術後6週で骨折部での内反及び短縮、ラグスクリューのバックアウトを認めた。免荷を継続したが頸部でのラグスクリューのカットアウトを生じたため、初回手術後1年3ヵ月時に遠位固定型セメントレスロングステムによる人工骨頭置換術を施行した。術後12ヵ月現在、疼痛なく歩行可能である。症例3:73歳女。転倒受傷し、陥入型の右大腿骨頭部骨折に対してcannulated cancellous screwによる骨接合術を施行した。術後2週過ぎの歩行訓練中に激しい疼痛を訴え、X線でスクリュー刺入部の転子下に骨折を認めた。早期荷重開始を目的にスクリューを抜釘し、遠位固定型セメントレスステムによる人工骨頭置換術を施行した。術後10ヵ月現在、疼痛は殆ど訴えず歩行可能である。
©Nankodo Co., Ltd., 2007