発行日 2008年4月1日
Published Date 2008/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2008178560
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57歳男。手指の巧緻性低下、歩行障害、排便障害を主訴とした。MRIでC3/4レベルでの狭窄を認め、頸部脊柱管狭窄症による頸髄症と診断した。保存的治療で改善せず、C3~C6の棘突起縦割法による椎弓形成術を行った。棘突起縦割後の拡大で硬膜管に瘻孔を認めたが、硬膜縫合は行わず、棘突起スペーサーを留置して0号バイクリル糸を用い筋膜縫合を行った。術後16日目に手術創直下に髄液貯留を認め、病理組織像より好酸球増多が判明した。熱発は持続したが炎症所見は軽度で、頭痛などの症状もなかった。術後29日目に患部確認・洗浄のため再手術を行ったところ、縫合した筋層は脆弱化し、硬膜からの髄液漏出が続いていた。バイクリル糸に対するアレルギー反応による好酸性髄膜炎を疑い、残存糸および周辺組織とスペーサーを除去すると共に、硬膜の瘻孔に脂肪塊を置き、フィブリン糊を塗布して、筋層はサージロン糸で強固に縫合した。術後9日のMRIで髄液漏改善を確認した。
©Nankodo Co., Ltd., 2008