発行日 2008年8月1日
Published Date 2008/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2008330952
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64歳男。40歳時に後頸部痛が出現し頸椎可動域(ROM)制限を来たし、強直性脊椎炎の診断で消炎鎮痛薬により保存的治療が行われた。その後、誘因なく両手のしびれ、巧緻運動障害を自覚、下肢の感覚障害、歩行障害も出現し受診した。初診時所見は痙性歩行で頸椎ROMは全方向に制限されていた。両側上腕二頭筋腱反射以下の四肢深部腱反射はすべて亢進していた。徒手筋力テストでは左側優位に三角筋以下で4/5程度に低下していた。知覚検査では四肢遠位部を中心に50~80%の知覚鈍麻と左手背の異常知覚を認め、JOAスコアは9.5点であった。頸椎単純X線像では脊椎は広範に骨性強直しており、側面機能写ではC2以下で椎間可動性はほぼ消失し、環軸椎間に異常可動性を認めた。MRIで環椎後弓が軸椎弓の腹側まで変位し、肥厚した後環軸膜とともに頸髄の圧迫を確認した。以上より環軸椎高位における頸髄症と診断し、環椎前方亜脱臼の整復と環椎後弓切除を行った。術後早期に後頸部痛、巧緻運動障害および歩行障害は消失した。四肢筋力は正常レベルに回復し知覚は左手遠位に軽度のしびれを認めるだけとなり退院した。術後1年を経過して、しびれは消失し画像上の環軸椎間の不安定性の増悪は認めなかった。
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