発行日 2010年8月1日
Published Date 2010/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2010313582
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59歳男。右上肢の痺れ感、歩行時不安定性、手指の巧緻運動障害を主訴とした。約2年前、頸椎後縦靱帯骨化症の診断で、他院にてC5-C7の前方除圧固定術を受けている。単純X線にて軸椎の形成不全、軸椎より分離する歯突起を認め、MRIにて歯突起後方に軟部組織の増殖を認めた。以上より、環軸椎亜脱臼による上位頸椎部の障害及びC4/C5レベルの術後隣接椎間障害による頸髄症と診断した。手術は、環軸椎を整復して中空スクリュー刺入れし、環椎と軸椎の椎弓上に腸骨移植後に固定した。その後、C3-C6の椎弓形成術を行った。その結果、術後1日目より手指の改善を認めた。術後6ヵ月のMRIにて歯突起後方の腫瘤は消失し、上位頸髄圧迫症状は改善し歩行障害の著明な改善を認めた。なお、今までに、歯突起後方の反応性線維組織が環軸椎の固定により縮小した症例の報告はない。
©Nankodo Co., Ltd., 2010