発行日 2008年2月1日
Published Date 2008/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2008146469
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39歳女性。患者は両下肢の感覚障害が生じ、その後、夜間に尿意が分からず失禁し、下肢脱力で階段昇降が困難となった。今回、平地歩行で膝折れが出現したため近医より著者らの施設へ紹介受診となった。所見では左側優位の両下肢筋力低下、臍以下両下肢の知覚鈍麻、会陰部での感覚消失が認められた。また、MRIおよびCTではTh4~5レベルでの脊髄の腹側への著明な偏位と扁平化、背側のクモ膜下腔の拡大がみられた。以上より、本症例は特発性脊髄ヘルニアと診断し手術を行い、Th3~7の椎弓を切除、背側硬膜を切開して脊髄を露出させ、脊髄を背側に牽引した。するとその腹側に二重構造の硬膜が確認され、内層硬膜の欠損部に脊髄が嵌頓していた。そこで内層硬膜を広範に切除してヘルニア孔を拡大し、脊髄の嵌頓解除を確認してから背側くも膜と硬膜を縫合し、あわせて椎弓を還納、固定した。以後、MRIでは脊髄の偏位、背側くも膜下腔の拡大消失を認め、目下、術後6ヵ月経過で下肢筋力低下や知覚障害、膀胱直腸障害は認められていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2008