発行日 2008年1月1日
Published Date 2008/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2008091694
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症例は58歳男性で、淡明細胞型軟骨肉腫のため、8年前、腫瘍広範切除術、及びPHK III Systemを用いた人工膝関節全置換術を受けた。術後8年目、右膝の不安定性を自覚した。右膝関節は内外反方向に約10°の動揺性を認めた。局所感染徴候は認められず、血液検査にも感染を疑う所見はみられなかった。X線像上、金属部分に異常は認められず、ポリエチレン部での摩耗、もしくは破損が考えられた。術中、ヒンジ部分に目立った弛みはみられず、ローテーター部分に動揺性を認めた。全てのポリエチレン部品、及びローテーター、ヒンジシャフトを交換したところ、内外反方向の動揺性はほぼ消失し、歩容も安定した。症例は初診時に病的骨折により血腫が膝関節腔内に充満し、関節包外切除、膝蓋骨切除を行った。そのため、下腿を振り子のように振り上げて歩いており、人工関節に過度のストレスがかかり、摩耗が他の症例に比べて早く出現した可能性が考えられた。
©Nankodo Co., Ltd., 2008