発行日 2008年1月1日
Published Date 2008/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2008091686
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症例は61歳女性で、右変形性股関節症と診断され、全身麻酔と硬膜外麻酔の併用下で人工股関節全置換術を受けた。術中・術後の疼痛管理目的に硬膜外カテーテルを留置した。術中は順調に経過したが、術後1日目に血圧低下、末梢動脈酸素飽和度低下を、術後2日目にTh4以下の広範囲な知覚低下、及び左下肢筋力低下を認めた。Epidural compartment syndromeを疑い、硬膜外カテーテルを抜去した。カテーテル抜去90分後の腰椎単純MRIは、Th11/Th12~L4/L5で脊柱管内の限局性占拠性病変による硬膜管の後方からの圧迫を示した。占拠性病変は、脳脊髄液に比べ、T1強調画像でやや低信号、T2強調画像で高信号を呈した。カテーテル抜去120分後、Th4以下の知覚低下、筋力低下、及びバイタルサインは改善し、カテーテル抜去1週間後、脊柱管内の占拠性病変は完全に消失していた。この症例では、硬膜外腔への麻酔薬の持続的な投与によって貯留した液体が硬膜管を圧迫したと考えられた。
©Nankodo Co., Ltd., 2008