発行日 2007年12月1日
Published Date 2007/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2008060716
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74歳女。4日前からの左股部痛を主訴とし、X線像にて左大腿骨頸部内側骨折を認めたため、受傷後6日目にセメントレス人工骨頭置換術を施行した。術後30分に軽度の息苦しさを訴えたが酸素増量により改善したため経過観察とした。術後1時間30分に突然の意識障害と両眼の右上方共同偏視および自発呼吸の微弱化を認めた。頭部CTにて脳出血は認めず、頭部拡散強調MRIのT1条件にて微少な点状の高信号病変が両基底核や大脳白質、灰白質に多発し、脂肪塞栓によるshower embolismが疑われた。術後3時間45分に自発呼吸が停止し人工呼吸器管理として塩酸ドパミン・ノルアドレナリンの持続静脈注射を開始したが、術後18時間に死亡した。摘出大腿骨頭は病理組織学的に海綿骨量の減少と脂肪変性を認め、脂肪塞栓の危険因子の1つと考えられた。
©Nankodo Co., Ltd., 2007