発行日 2004年10月1日
Published Date 2004/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2005039465
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18歳女.両股関節,両膝関節,下顎部痛を主訴とした.自殺企図で4階から飛び降りて受傷し,救急搬送された.大腿骨頸部骨折が両側性で,骨折部の転位が高度であったため,整復操作に難渋し,手術時間は6時間34分に及んだ.術後,呼吸不全を生じ,両肺野全体にsnow storm陰影を認めた.肺動脈圧50/30mmHgと上昇し,動脈血酸素分圧(Pao2)低下等により脂肪塞栓症候群と診断された.人工呼吸器を用い,吸入気酸素濃度(Fio2)100%の酸素を投与しても,Pao2が35.5mmHg以上にならなかった.重度の呼吸・循環不全がみられ,急速に状態が悪化する危険性があり,気管内挿管後,経皮的人工心肺補助(PCPS)を施行した.PCPS導入後,呼吸・循環状態が安定化し,Fio2を下げてもPao2が改善し,動脈血酸素飽和度を100%に維持できた.PCPS離脱直後の胸部X線像でsnow storm陰影は改善し,発症2ヵ月後には完全に消失した
©Nankodo Co., Ltd., 2004