発行日 2005年4月1日
Published Date 2005/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2005202436
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人工股関節置換術(THA)・人工骨頭置換術(FHR)後の,bone cement implantation syndromeの原因について,実験的研究と臨床報告症例の検討を行った.実験的研究は家兎を用いて行った.その結果,骨セメント充填,髄内釘を挿入した群と骨セメントの替わりに彫塑用粘土を充填した群は,で血圧降下例と心室性期外収縮例を認め,肺組織に大量の脂肪塞栓を認めた.しかし,骨セメント充填,彫塑用粘土充填に加えて大腿骨髄内の減圧目的でドレーンを使用した2群は,心電図の変化は認めず,肺組織の脂肪塞栓は大量ではなかった.日本における骨セメント充填後の血圧降下の報告はTHA15例,FHR20例で,いずれも大腿骨置換時,セメント挿入直後に血圧低下が出現していた.剖検例4例で肺塞栓と脂肪塞栓を認め,血圧低下や心停止の原因を脂肪塞栓と判断した例は17例であった.以上より,セメント挿入直後の肺・循環合併症は脂肪塞栓が関与しており,実験結果より,大腿骨髄圧を上昇させない手術操作が重要である
©Nankodo Co., Ltd., 2005