発行日 2007年5月1日
Published Date 2007/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2007184473
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1999年11月~2005年10月に人工股関節手術を行った透析患者8例9股を対象として、周術期合併症を検討した。患者は男性2例、女性6例、平均年齢65.3歳、平均透析年数17.9年であった。周術期は術後2週までとした。先行手術が施行されていた患者は4例5股であった。その結果、周術期合併症は3例認め、いずれも先行手術施行症例であった。合併症は全て脳梗塞であり、術翌日、当日、術後3日目に発症していた。そのうち2症例は独歩可能なまで回復していたが、1症例は術後5ヵ月、肺炎を併発し死亡した。合併症あり群では合併症なし群と比較して高齢で、透析歴および手術時間が長く、出血量が多かった。また、術前血液データより総蛋白質濃度、血清尿素窒素濃度は低く、3例中2例に心電図異常を認め、合併症あり群では心拍出量が低下していた。透析患者の周術期管理において、心血管系、感染症、脳血管障害などの合併症に注意を払うことが重要であると考えられた。
©Nankodo Co., Ltd., 2007