発行日 2007年7月1日
Published Date 2007/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2007261013
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77歳女性。診断に難渋したため、その背景について考察した上腕骨骨Paget病の1例を報告した。軽度右半身麻痺、呂律不良で脳梗塞の再発と診断され入院し、右肩関節痛で当科を受診した。X線で右上腕骨の彎曲、骨透亮像と骨硬化の混在を認め、CTで上腕骨に骨吸収像、骨幹部に骨皮質の肥厚を認めた。MRIで骨皮質はT1強調で低信号、T2強調で低信号と高信号の不均一な混在を認め、骨シンチグラムで右上腕骨全体に均一で強い集積を認めた。骨Paget病を疑った骨代謝検査で骨型アルカリフォスファターゼ(BAP)、血清I型コラーゲン架橋N-テロペプチド(NTx)の上昇を認め、骨生検で骨の層板構造を分断する波打ったセメントラインと骨梁のモザイク構造を認めて骨Paget病と診断した。リセドロン酸ナトリウム水和物内服で痛みとNTxの改善を認めたが、BAPは軽度上昇のままであり、経過観察中である。
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