臨床室
長軸力優位型前腕双極損傷の1例
小原 由紀彦
1
,
中村 俊康
1山王病院 整形外科
キーワード:
X線診断
,
内固定法
,
骨板
,
MRI
,
尺骨骨折
,
手関節
,
脱臼
,
肘関節
,
手首外傷
,
橈骨骨折
,
縫合法
,
三角線維軟骨複合体
,
下橈尺関節
Keyword:
Bone Plates
,
Joint Dislocations
,
Elbow Joint
,
Fracture Fixation, Internal
,
Magnetic Resonance Imaging
,
Radiography
,
Suture Techniques
,
Radius Fractures
,
Ulna Fractures
,
Wrist Injuries
,
Wrist Joint
,
Triangular Fibrocartilage
pp.1358-1361
発行日 2015年12月1日
Published Date 2015/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2016086567
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症例は61歳女性で、階段で転落し、右手を突き、受傷した。右橈骨遠位端骨折、肘関節脱臼の診断で肘関節脱臼に対し、徒手整復固定後、紹介受診した。X線所見で橈骨遠位端骨折はAO分類でタイプC1で、頂部の尺骨茎状突起骨折を認めた。上腕骨外側上顆に裂離骨片を認め、MRI脂肪抑制画像で前腕骨間膜に沿って高輝度領域を認めた。受傷3日後に全身麻酔下に手術を施行した。全身麻酔下の徒手検査で肘関節、遠位橈尺関節(DRUJ)の不安定性を確認したため、両者とも制動が必要と判断した。仰臥位、駆血下で肘関節部から手術を施行した。肘関節内外側に皮膚切開をおき展開し、上腕骨から剥離する内側、外側側副靱帯断裂を確認後、ともにアンカー縫合を行った。引き続き手関節部の手術に移行した。垂直牽引下に手関節鏡、DRUJ鏡を施行し、三角線維軟骨複合体(TFCC)尺骨小窩剥離損傷を確認した。骨遠位端骨折に対してはロッキングプレートを用いた観血的整復固定を行い、TFCC尺骨小窩剥離損傷に対しては直視下アンカー縫合とした。術後3週の肘上外固定後、リハビリを開始した。術後7ヵ月、肘関節、手関節ともに可動時痛も不安定性もなかった。骨癒合が得られ、整復位を保っていた。肘関節自動可動域は伸展0°、屈曲130°、手関節自動可動域は掌屈80°、背屈70°、前腕回内60°、回外80°であった。握力は16kg(健側22kg)であったが、日常生活動作に不自由はなかった。
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