発行日 2011年10月1日
Published Date 2011/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2012048015
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化膿性関節炎・筋炎から急性呼吸促迫症候群(ARDS)を発症し、救命できた3症例を報告した。症例1は68歳女性で、右股関節痛を主訴とした。入院6日目に股関節MRIで、右臀筋内膿瘍と診断した。切開排膿及び持続灌注を行った。起因菌は緑膿菌であった。手術施行の同日呼吸困難となり、人工呼吸管理とした。X線で浸潤影を認めARDSと診断し、シベレスタットナトリムを投与した。入院10日目に人工呼吸器から脱した。症例2は71歳女性で、右大腿部痛を主訴とした。CTで右腸腰筋膿瘍と診断し、観血的に膿瘍掻爬術を行った。起因菌はメチスリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)であった。いったん抜管したが呼吸状態が悪化し、胸部CTにてARDSと診断した。非侵襲的陽圧換気を行い、ステロイドを投与した。術後4週の股関節MRIで右化膿性股関節炎と診断した。症例3は86歳男性で右肩関節痛を主訴とした。前医で右化膿性肩関節炎と診断された。関節鏡下デブリドマン及び持続灌注を行った。起因菌はMSSAと判明した。抗生物質とシベレスタットナトリウム投与を行うも術後徐々に呼吸状態が悪化し、胸部X線にてARDSと診断した。右肩関節の観血的デブリドマン及び持続灌注を複数回行い、上腕骨頭を切除した。化膿性髄膜炎も併発し治療に難渋したが、救命可能であった。
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