発行日 2005年11月1日
Published Date 2005/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2006040983
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87歳男.自転車運転中ドブに転倒し,左膝に軽度の擦過傷を負った.その後,呼吸困難を訴え,続いて皮膚剥離,水疱形成,下腿発赤の範囲の拡大がみられ,抗生物質投与を投与したが急速に症状が進行し当センターに搬送された.直ちに筋膜生検を行い,左足背,下腿部筋膜で炎症細胞浸潤と壊死性変化を,大腿部筋膜で炎症細胞浸潤とわずかに壊死性変化を認めた.沈降破傷風トキソイド,広域をカバーする抗生物質,ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリンの投与を開始したが,来院から2時間で敗血性ショックとなった.感染範囲は拡大し,年齢,心不全の存在,免疫力の低下などを考慮し,左大腿部切断術を行った.術後は集中治療室で集中治療を行った.術後1日目にMorganella morganiiの単独感染であることが判明し,抗生物質を薬剤感受性試験に従い硫酸セフピロムに変更した.術後,循環動態,呼吸状態とも徐々に改善し,術後14日目には全身状態良好となり他院へ転院した
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