発行日 2005年1月1日
Published Date 2005/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2005140447
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右反復性後方脱臼と左ライナー脱転をきたした両側人工股関節全置換術(THA)症例を提示し,ライナー脱転に至る機序を検討した.40歳女.1988年にHGP 1カップと22mm径スカート付きロングヘッドの組合せで左THAを,1989年にHGP 1カップと22mm径mediumヘッドの組合せで右THAを施行したが,経過中,5回の右後方脱臼を生じた.脱臼はいずれも過屈曲内転内旋肢位で生じており,理論的可動域(ROM)が不十分でカップ辺縁の骨隆起が小さかったことよりカップネックインピンジメントが主因と考えられた.一方,左THAは術後12年で歩行不能となり,再置換時にはライナーの破壊・脱転とフランジの破損遊離片がみられ,骨頭はメタローシスを生じていた.左THAの理論的ROMは右より小さく,頻回にインピンジメントを生じたと思われるが,術中所見でメタルシェルが強固に固定されていたことから,インピンジメントの際に脱臼は起こらず,ライナーやメタルシェルの辺縁,フランジ部に負荷がかかり,保持機構が破壊したと推測された
©Nankodo Co., Ltd., 2005