発行日 2004年12月1日
Published Date 2004/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2005067163
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35歳女.左鼠径部痛を主訴に近医を受診,X線像上で左恥骨に異常陰影を指摘され紹介来院した.初診時,X線像で左恥骨に地図状骨破壊と皮質骨の菲薄化,ballooningを呈する骨腫瘍を認め,MRIのT1強調像で腫瘍は高信号を呈し,ガドリウムで病巣の辺縁から内部に及ぶ弧形または円形状の造影像を呈していた.腫瘍は生検所見にて恥骨上枝から前方臼蓋の骨内に広がった軟骨肉腫と考えられ,腫瘍の広範囲切除術を計画した.術中所見では腫瘍切除のための骨切りラインは恥骨上枝-恥坐骨間,臼蓋窩の後縁,下前腸骨棘と臼蓋部の近位部を結ぶ線としてノミで骨切りを施行したため前方臼蓋は欠損した.回旋運動により股関節が容易に骨盤内に脱臼したため腫瘍切除中に露出した前方腸骨から3×4cmのtri-cortical boneを採取し,臼蓋前内側の骨欠損部に移植し,チタン製スクリューで固定した.術後6ヵ月の現在,局所再発はなく股関節には軽度の関節症性変化を認めたが疼痛はなくフリー歩行が可能である
©Nankodo Co., Ltd., 2004