発行日 2009年7月1日
Published Date 2009/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2009271670
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症例1は21歳女性、症例2は76歳女性で、骨折の診断時には意識清明であったが、翌日には意識レベルの低下がみられた。その時の酸素飽和度は、症例1は酸素2L/分投与下で93%、症例2は酸素3L/分投与下で96%であった。胸部X線像には入院時と比べて明らかな変化はみられなかった。MRI拡散強調画像(DW-MRI)では、症例1は高信号の微少な病変を広範囲に多数認め、症例2は、高信号の微少な病変が脳幹部を含めた広範囲に多数認めた。よって脳脂肪塞栓と診断した。予後は脳梗塞の部位により異なると考えられ、微少病変が脳皮質に散在していた症例1は社会復帰が可能となったが、脳皮質だけでなく、脳幹部にも病変が存在していた症例2は意識レベルが低下したままであった。脂肪塞栓症候群は画期的な治療がないため対症的な全身管理を行う。予後不良であるため初診時より注意が必要である。
©Nankodo Co., Ltd., 2009