発行日 2008年4月1日
Published Date 2008/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2008178558
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骨折に続発した脂肪塞栓症候群(FES)5例(男4例・女1例、34~78歳)について報告した。受傷機転は交通事故3例、転落2例で、多発外傷のinjury severity scoreは13~48点であった。5例はいずれも2ヶ所以上の多発骨折例であった。FES発症時期は受傷後4時間~4日で、骨折に対する初期治療は1例で一部観血的治療を行い、他の4例は保存的治療であった。FESの診断には鶴田の診断基準を用い、大基準3徴を認めたのは2例で、点状出血3例、呼吸器症状および肺X線病変5例、脳・神経症状3例であった。中基準の低酸素血症、貧血、および小基準のうち頻脈、発熱、Plt減少、ESR亢進は全例に認めた。5例中3例は人工呼吸管理を要した。全例でFES発症時に全身性炎症反応症候群(SIRS)の診断基準を満たしていた。長管骨骨折を認めた4例中3例はSIRS離脱後手術を行ったが、受傷4時間後発症の1例は離脱できず死亡した。SIRS離脱は発症後3~10日、手術時期はFES発症後5~12日であった。術後FESの悪化はなかった。
©Nankodo Co., Ltd., 2008