発行日 2004年10月1日
Published Date 2004/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2005039464
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62歳男.1999年から自己免疫性溶血性貧血のためプレドニゾロン25mg/日を内服していた.園芸を趣味としており,土をいじることが多かった.2000年頃から右手背に腫瘤を認め,次第に増大したため近医で切除を受けた.その後,分泌物を伴う腫瘤の再発を認め,分泌物から真菌が検出され,真菌性肉芽腫が疑われた.MRIで皮下から伸筋腱周囲に腫瘤を認め,腫瘤はGd投与で一部エンハンスされた.外科的手術に加え薬物療法を併用したが,3ヵ月後再々発した.β-Dグルカンが陽性のまま薬物療法を中止したためではないかと考え,2回目の切除後はβ-Dグルカンが陰性となるまで薬物療法を継続し,術後5ヵ月を経過する現在,再発は認めていない.切除腫瘍の間質のあいだに特徴的な黒色真菌の菌糸をHE染色,PAS染色で同定でき,phaeohyphomycosisと診断した.Phaeohyphomycosisは易感染性宿主に外傷を契機に発症するが,皮下を越えて深部組織に発生することは稀で,1955~2003年の本邦報告は6例であった
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