発行日 2003年4月1日
Published Date 2003/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2003226058
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54歳男.右肘痛,右環指・小指の痺れを主訴とした.小学生のとき右肘に外傷歴があり,そのころより右肘に可動域(ROM)制限を認めた.初心時所見,筋電図,単純X線,単純CT所見より,変形性肘関節症を原因とした肘部管症候群ならびに遊離体によるROM制限と診断し,手術を施行した.尺骨神経に沿って約15cmの皮切を加え,Osborne靱帯を切離して神経を観察すると,靱帯直下で圧迫を思わせる神経の扁平化が認められた.更に靱帯から末梢方向に向かい,神経に沿って約3cmのガングリオンと思われる腫瘤が存在した.腫瘤は通常のガングリオンと内部に血液の貯留がある嚢胞様病変部からなっていた.腫瘤を神経から剥離,摘出したところ神経上膜は欠損し,神経束が直接観察された.神経を皮下前方へ移行した後,後外側進入にて肘関節前方に存在した最大径約2cmの関節内遊離体を摘出した.術後7ヵ月の現在,知覚障害は軽快,痺れの範囲も軽減した.右第1背側骨間筋の筋萎縮は残存しているが,握力は右40kg,左50kgと改善している.右肘ROMは伸展-10°,屈曲130°まで改善している
©Nankodo Co., Ltd., 2003