発行日 2003年4月1日
Published Date 2003/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2003226057
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62歳女.左環指・小指の痺れを主訴とした.関節リウマチ(RA)stageIII,classIIIでプレドニゾロンによる加療中,突然に主訴症状が出現した.左肘の単純X線像では異常は認めず,MRI所見では,T1強調画像では低信号を示し,T2強調画像ではモザイク状で被膜におおわれた腫瘤を認めた.約20cmの皮切後,皮下を展開すると肘部管遠位約2cm付近に尺骨神経に沿って1×2cmの黄色・弾性硬の腫瘤が存在した.腫瘤は被膜におおわれ,境界明瞭で尺骨神経を著しく圧迫していた.また,この腫瘤は近位方向に向け一部索状となっており,関節包を突き破って存在し関節内との連続性が認められた.更に上記腫瘤と連続して末梢側の尺側手根屈筋内に1×3cmの同様の腫瘤が存在した.腫瘤摘出後は尺骨神経は十分に開放された.病理組織像では,壊死組織内の断裂した硝子軟骨を含み,周囲にはヘモジデリンの沈着を認めた.術後早期に左環指・小指の痺れは軽快し,術後3ヵ月で骨間筋の筋力も改善,左環指・小指の完全伸展も可能となった.術後8ヵ月現在,症状の再発は認めない.本症例のように,肘関節の滑膜破裂により急激に尺骨神経麻痺を発症するものは非常に稀と考えられた
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