発行日 2003年1月1日
Published Date 2003/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2003150365
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77歳男.主訴は両下肢完全麻痺.腸腰筋以下の筋力は徒手筋力テスト(MMT)で0であった.知覚は臍下2cmより遠位で脱失して下肢深部反射,肛門反射Babinski反射,sacral sparingは陰性であった.以上よりTh11以下の弛緩性完全麻痺と判断した.脊髄硬膜外血腫,硬膜外膿瘍脊髄梗塞などを疑ったが,この時点で麻痺の原因は不明で,ソル・メドロール大量療法を始めた.胸部X線像の異常所見は心不全であった.ここではじめて大動脈の異常を疑い,再度診察した.両下肢蒼白下肢チアノーゼは陰性であったが,両大腿動脈触知不能,両下肢冷感陽性であった.心電図はP波消失,R-R間隔が不規則で,心房細動の所見であった.ただちに血管外科に依頼したところ診断は鞍上塞栓症であった.腋下両大腿バイパス術を同日行い,発症後13時間で血流が再開した.しかしmyonephropathic metabolic syndrome(再灌流障害)を併発して3日後に死亡した
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