発行日 2010年10月1日
Published Date 2010/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2011042632
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69歳男。患者は右片麻痺、言語障害を主訴とした。はじめ脳梗塞と診断され、加療中であったが、経食道エコーで左上肺静脈における開口部近傍の左房内に可動性ある腫瘤が認められ、また同時に右足第3、4足趾には潰瘍がみられた。更に入院16日目には高熱を発し、血液培養でKlebsiella pneumoniaeが検出された。そこで、抗生物質の投与を行ったところ解熱は得られず、WBCやCRPの上昇、PLTの減少がみられた。以後、これらの経過を含め本症例は粘液腫が感染の原因と考え、敗血症、播種性血管内凝固の進行抑制と塞栓症予防のため、入院21日目に完全体外循環、心停止下に経心房中隔的に腫瘍切除術が行われた。その結果、病理組織学的所見では左房内付着部はalcian blue陽性基質と間葉系の細胞がみられ、粘液腫であった。この治療後、患者は解熱となり、術後14日目には右足第3趾の壊死に対し切断術が施行されたが、創傷治癒不全がみられため、下肢のバイパス術により経過は良好となった。
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