発行日 2003年1月1日
Published Date 2003/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2003150364
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45歳女.右頸部痛,右肩外転障害を主訴とした.検査所見より後頸部リンパ節生検に合併した副神経損傷と診断して生検後約3ヵ月に手術を行った.Tinel徴候が存在した部位の頭側から,僧帽筋鎖骨停止部の約4cm中枢に至る7cmの皮切を用いて進入した.頸神経僧帽筋枝の癒着部を中心に神経剥離を行い,両断端を新鮮化すると16mmの欠損を生じたので,右下腿から腓腹神経を採取して3本に束ねケーブル移植を行った.副神経の両断端の病理組織所見はtraumatic neuromaであった.術後2日には術前MMT0であった僧帽筋の筋力は3に回復した.術後1週で頸部の疼痛はほぼ消失し,肩甲帯の挙上ができるようになった.術後5週で僧帽筋の筋力はMMT4に回復し,術後2ヵ月で肩関節のROMは術前の外転45°から180°に,屈曲135°から180°に回復した.術後11ヵ月の現在,僧帽筋の筋力はMMT5まで回復しており頸部痛はなく,肩関節の自動ROMは正常に回復している
©Nankodo Co., Ltd., 2003