発行日 2017年10月1日
Published Date 2017/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2017380369
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49歳女。排尿困難を主訴に受診した。腹部造影CTで仙骨前面に長径11cmの嚢胞性腫瘤を認めた。腹部造影MRIでも同部に嚢胞性腫瘤を認め、腫瘤の内容成分は脂肪抑制像で抑制されないhigh intensityの成分が主体であり、細粒状の内容物が混在していた。画像所見から診断を確定することはできなかったが、腫瘤が被膜を有しており、切除可能と判断されたため、診断と治療を兼ねて手術を行った。下腹部正中切開でアプローチし、直腸後壁を開放して腫瘍表面を露出した。腫瘍は巨大であり、手術操作中に嚢胞壁を損傷してしまい、内容物が骨盤内に流入した。内容物は茶褐色で泥状を呈し、一部毛髪成分を認めた。腫瘍は遺残なく摘出できたが、操作中に直腸左壁を損傷したため回腸双孔式人工肛門造設を併施した。摘出標本の病理組織所見からdermoid cystと診断し、術後4ヵ月の現在まで再発は認めていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2017