発行日 2014年12月1日
Published Date 2014/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2015122710
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36歳女性。出産後の検査で骨盤内に腫瘤を指摘され、著者らの施設へ紹介となった。腹部CTでは直腸右背側に5cm大の嚢胞性腫瘤が認められた。また、骨盤MRIでは嚢胞性病変の内溶液はT1強調像で低信号、T2強調像で高信号を示し、下部消化管内視鏡では下部直腸に壁外性の圧排が認められた。以上より、本症例は仙骨前面の嚢胞性病変の診断にて腹腔鏡下摘出術が施行された。術中所見ではS状結腸・直腸間膜を右側より切開、直腸固有筋膜にそって肛門側に剥離して肛門挙筋に到達した。すると直腸側に被膜に覆われた腫瘤が認められ、これを被膜にそって剥離して摘出した。摘出標本は5cm大の嚢胞状の病変で、表皮様の重層扁平上皮で覆われ、内部には毛髪や粥状物があり、壁には脂腺や毛胞、汗腺が認められた。尚、総じて本症例はdermoid cystと診断されたが悪性成分はなく、患者は術後4日目に退院となった。
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