発行日 2017年6月1日
Published Date 2017/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2017300892
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61歳女。腹部膨満、嘔吐を主訴とした。10年前ごろから腹部膨満の症状を不定期に認め、1ヵ月前からは症状が頻回となり腹部膨満感が軽減すると同時に下痢になる愁訴を認めた。腹部造影CTでは骨盤内の小腸に壁肥厚を認め、小腸造影検査では小腸がびまん性に拡張していたが明らかな閉塞起点は認めず、炎症性または癒着により亜イレウス所見が繰り返していると診断し開腹手術を施行した。小腸間膜が腸管に付着する部位で線維性肥厚が強く、硬結様に触れる部分を複数認め、同部の小腸を25cm切除し端々吻合した。病理組織学的所見では腸間膜側の硬結様部分はリンパ球・形質細胞の浸潤を認め、IgG4染色で陽性形質細胞を認めたため、標記の診断とした。術後9日目に測定したIgG4値は56.3mg/dlであり、経過良好にて第11病日に退院した。術後40ヵ月経過して明らかな再燃の徴候は認めていない。
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