発行日 2011年7月1日
Published Date 2011/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2011306523
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70歳男。57歳時に十二指腸潰瘍で胃幽門側切除、65歳時に低Na血症を認めるもACTH、cortisolの著変は認めず、補液で軽快した。今回、血便、胃のむかつき、嘔気を主訴に受診した。上部消化管内視鏡で異常はなく、低Na血症を指摘され入院となった。腋毛・恥毛の脱落、皮膚乾燥、下腿両側にnon-pitting edemaを認めた。尿中と血中の浸透圧逆転、原発性甲状腺機能低下症、IgG4/IgGは高値であった。下垂体MRではT2強調画像で後葉high signalの欠失を認め、Gd造影で腫大した下垂体茎の増強効果を認めた。下垂体機能検査では、GH、LH、FSHの分泌不全、PRLの異常値、TSH、ACTH、cortisolの部分的な障害を認めた。以上より、下垂体性副腎不全による低Na血症と判断し、hydrocortisone内服を開始した。腹部CTで膵萎縮、後腹膜線維症を認め、IgG 4関連硬化性疾患として矛盾しないと考えられた。下部消化管内視鏡でS状結腸癌と判明し、S状結腸を切除した。その後、右涙腺腫瘍が顕在化し、同部の生検で悪性リンパ腫と診断された。化学療法を予定していたが、吻合部潰瘍による吐血、腹腔内リンパ節腫大で第104病日に死亡した。残胃全摘の病理診断はmargial zone B-cell lymphomaと診断した。
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