発行日 2014年2月20日
Published Date 2014/2/20
DOI https://doi.org/10.19020/J01937.2014142465
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40歳男。心窩部痛を主訴に近医を受診、白色便とトランスアミナーゼの上昇から急性肝炎が疑われ、著者らの施設へ紹介となった。所見では眼球結膜と全身皮膚に著明な黄染がみられ、両側顎下腺部には腫大が認められた。また、胆道系優位の酵素異常と高ビリルビン血症、血清IgG値の上昇があったものの、ANAやAMAは陰性、膵・胆道系の腫瘍マーカーも高値を認めるもHBs抗原、HCV抗体は陰性であった。一方、腹部超音波では肝内胆管は拡張し、中部胆管には全周性壁肥厚が認められた。更にMRCPでは中部胆管に約1.5cmの内腔狭窄が認められ、狭窄部より上流の総胆管と肝内胆管は拡張していたが肝内胆管の壁不整は認められなかった。以上より、本症例は中部胆管狭窄による閉塞性黄疸と診断されたが、IgG4関連硬化性胆管炎(IgG4-SC)の可能性を考慮しドレナージ治療を兼ねたERCPが行われた。一方、顎下腺腫大に関しては、超音波で両側の顎下腺は腫大し低エコーを呈しており、小唾液腺を有する口唇の生検ではIgG4陽性の形質細胞浸潤が認められ、IgG4-SC+IgG4関連顎下腺炎であった。以後、これらを踏まえ、ENBDチューブによる減黄と同時にPSLによる治療を行なった結果、中部胆管の狭窄は改善し、あわせて両顎下腺腫大の縮小、腫瘍マーカーの正常化とともに病態も改善した。尚、外来にてPSLは継続されたが再燃は認めず、画像での悪性所見も認められていない。
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