発行日 2010年11月1日
Published Date 2010/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2011055940
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52歳女。約4ヵ月前に両側顎下部腫脹に気付き近医を受診し、抗菌薬を処方されたが改善しなかった、その後、両側唾液腺の腫脹および痛みが増悪し、CTの結果、サルコイドーシス疑いにて紹介となった。両側耳下腺と顎下腺の腫脹、両頸部に小豆大の表在リンパ節数個を触知し、抗核抗体陽性、リウマチ因子陽性、可溶性IL-2レセプター抗体およびγグロブリン(IgG)の上昇を認めた。CTで両側肺門と縦隔リンパ節の腫大を認め、PETで両側涙腺、耳下腺、顎下腺、両側肺門および縦隔リンパ節の腫大と亢進を認めた。顎下腺生検は慢性唾液腺炎の所見で精査の結果、病理組織学的診断は得られずサルコイドーシスとして経過観察したが2ヵ月後のCT、臨床症状にも変化は認めなかった。4ヵ月後の再検討でIgG4関連疾患の可能性を考え、IgG4測定で著明な増加、顎下腺生検時標本のIgG4免疫染色より陽性を認め、IgG4関連疾患と診断した。唾液腺の腫脹、疼痛、両側肺門リンパ節腫大の改善傾向を認めたためステロイド治療は行わず、経過観察とし症状は消失し再発は認めていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2010