発行日 2016年11月1日
Published Date 2016/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2017032248
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76歳女。下腹部痛を主訴とした。心房細胞に対しwarfarinを内服中であり、プロトロンビン時間国際標準比(PT-INR)は2.5前後で維持されていた。CTで胆嚢壁の肥厚を認め、腹部超音波検査で胆嚢体部に25×7mmの腫瘍を認めた。開腹手術により十二指腸と横行結腸の癒着を剥離後、胆嚢摘出術を施行した。病理組織学的には高分化腺癌で、漿膜下層に達していた。手術から6週間後にtegafur・uracilを1日量300mgで開始したが、5週間後に血尿が出現しPT-INRが10.12と著明に延長したため、ビタミンKを投与しtegafur・uracilとwarfarinの両方を休薬した。白血球数が一時低下したが休薬から1.5ヵ月後には安定し、tegafur・uracilは中止し経過観察の方針となった。心房細動に対する抗凝固療法は他剤に変更し継続中である。術後2年経過し、出血傾向や胆嚢癌の再発は認めていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2016