発行日 2016年6月1日
Published Date 2016/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2016351579
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63歳女性。左乳房の腫瘤が数ヵ月の間に急速増大し、易出血性を呈したため受診となった。初診時、左乳房全体を占める黄白色粘性の易出血性と悪臭を伴うカリフラワー状腫瘤が認められた。胸部CTを行なったところ、左乳房を占める内部不均一で大胸筋浸潤を伴う巨大腫瘤ほか、腋窩リンパ節腫大がみられた。だが、針生検では悪性葉状腫瘍、間質肉腫、紡錘細胞癌の鑑別が困難であった。以後、悪臭と滲出液、出血を抑制するため、まずMohs'pasteによる局所治療を開始した。この治療により腫瘍は縮小傾向にあったが、出血を抑制できなかった。そこで、乳房切除術および腋窩リンパ節郭清を施行し、更に広範な皮膚欠損には有茎腹直筋皮弁による再建を行った。その結果、病理組織学的に乳腺紡錘細胞癌の診断に至り、術後は補助化学療法としてFEC療法を4クール施行した。以後、手術から9ヵ月現在、再発や転移は認めず、経過は良好である。
©Nankodo Co., Ltd., 2016