発行日 2015年10月1日
Published Date 2015/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2016019439
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70歳代男。主訴は全身倦怠感と感冒様症状であった。右上腹部に腫瘤を触知し、入院時検査所見でαフェトプロテイン(AFP)およびエラスターゼIの上昇を認めた。CT およびCTアンギオグラフィでは下膵十二指腸動脈を流入血管とする腫瘍を膵頭部に認め、PET-CTでは腫瘍に高いFGP集積を認め、膵腺房細胞癌や消化管間質腫瘍の疑いで手術を行った。術中、膵頭部に血流豊富な最大径11cmの弾性硬な腫瘍を認め、困難な止血操作をしながら摘出術を行った。病理所見では多彩な形態を呈し、solid pattern主体でaciner patternが混在していた。D-PAS染色では腺腔側の細胞質に陽性顆粒を認め、acinar cell carcinomaと診断した。α1アンチトリプシンとα1アンチキモトリプシン陽性であり、いずれの細胞型もAFP陽性であった。第22病日に退院しS-1投与を開始したが、全身状態悪化により1ヵ月で中止し、その後AFPが上昇して多発肝転移を認め、術後7ヵ月で癌死した。
©Nankodo Co., Ltd., 2015