発行日 2015年6月1日
Published Date 2015/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2015285009
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68歳女。腹痛を主訴とした。夫に長期間のアスベスト曝露歴がある。臍ヘルニアの嵌頓と診断し、臍ヘルニア修復術を行ったが、術後1ヵ月に腹痛、腹部膨満、食欲低下を訴えた。術後イレウスと診断して保存的に経過を観察したが、イレウスは改善せず、腹水が増加傾向にあったため、開腹手術を行った。腹膜、Douglas窩、腸間膜に米粒大の白色結節がびまん性に多発していた。術中迅速凍結病理診断は悪性中皮腫の腹膜播種であり、結節の免疫染色所見より、上皮型の悪性腹膜中皮腫と最終診断されたが、術前の腹水細胞診は陰性で、本疾患に特徴的な腹水中ヒアルロン酸値上昇は術後に確認された。本例は、夫からの間接的アスベスト被曝歴による悪性中皮腫であると考えられた。
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