発行日 2015年5月1日
Published Date 2015/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2015265077
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31歳男性。特に誘因なく腹痛と嘔吐が出現し救急外来受診となった。所見では腹部は全体的に平坦・軟で、臍部を中心に圧痛があるも腹膜刺激症状は認められなかった。また、腹部CTでは小腸の拡張ほか、closed loopの形成と腸間膜の浮腫性変化が認められ、同部の口側腸管が拡張していた。以上より、本症例は絞扼性イレウスと考え、緊急手術が施行された。術中所見では開腹時に少量の血性腹水と暗赤色に変色した腸管がみられた。一方、絞扼原因の検索では先端が嚢状に拡張した盲管が口側回腸に巻きつき結節を形成し、それにより嵌入腸管が壊死に陥っていた。そこで、絞扼の解除を行なったところ、盲管は回腸末端より70cmの部位に確認され、腸管の温存は不可能と判断して盲管を含むように壊死腸管を切離し、端々吻合により再建した。その結果、切除標本は約60cmの回腸で、腸間膜対側に長さ6cmの先端が嚢状の盲管を認め、病理組織学所見から盲管に胃底腺を有する胃粘膜像を伴っており、Meckel憩室と診断された。尚、術後は偽膜性腸炎の合併を来したが軽快して、術後11日目に退院となった。
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