Meckel憩室穿孔で急性腹膜炎をきたした小児の1例

12歳男児。発熱と腹痛を訴え救急外来受診となった。所見では腹部は平坦かつ硬めで、右下腹部を中心に圧痛ほか、反跳痛や筋性防御も認められた。また、腹部造影CTでは骨盤内の小腸に一部壁肥厚と造影効果が認められ、炎症性変化が示唆されたが、骨盤内に腹水の貯留があるも虫垂の腫大や明らかな腹腔内遊離ガス像は認められなかった。以上より、本症例は急性汎発性腹膜炎の診断で緊急開腹手術を行なったところ、術中所見では回腸末端から約30cm口側に拇指頭大の憩室がみられ、加えて径約2mmの穿孔と小腸液の流出が認められた。Meckel憩室穿孔性腹膜炎と診断され、憩室を含めた楔状切除術を施行した結果、切除標本の肉眼所見では憩室内壁は襞状を呈し、正常小腸粘膜と胃粘膜と思われる粘膜の境界部に穿孔が認められた。一方、病理組織学的所見では小腸粘膜の穿孔であり、粘膜固有層に好中球の集簇など炎症性変化が強く認められ、異所性胃粘膜を認めるも、胃粘膜の部分には炎症反応はみられなかった。尚、術後経過は良好で、患者は合併症もなく、第6病日目に退院となった。