発行日 2015年4月1日
Published Date 2015/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2015263643
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症例1(80歳男性)。便秘・腹痛を主訴に近医を受診、腹部単純X線像でS状結腸の著明な拡張を認め、著者らの施設へ紹介となった。S状結腸軸捻転症の診断で内視鏡下整復が行われたが、その際、下部直腸癌を認め、1ヵ月後に内視鏡的粘膜下層剥離術が施行された。だが3ヵ月経過で腹部膨満感となり近医を受診、腹部単純X線像によりS状結腸軸捻転症の可能性が指摘され、再び著者らの施設へ紹介となった。所見では腹部単純X線像でS状結腸を中心に著明に拡張した腸管ガス像がみられ、いわゆるcoffee bean signが認められた。また、腹部造影CTではS状結腸の拡張と渦巻き状にねじれた腸間膜が確認された。以上、これらの所見を踏まえ、本症例はS状結腸軸捻転の再発と診断、整復目的に大腸内視鏡検査を施行したところ、直腸S状部付近で絞りのような狭窄を認められ、拡張腸管内のガスと便汁を吸引後、内視鏡下に整復が試みられらたが外科的根治術の適応と判断、第8病日目に腹腔鏡補助下S状結腸切除術を施行することで、患者は術後第23病日目に退院となった。症例2(79歳女性)。寝たきり状態で施設入所中であった。今回、著者らの施設の内科でS状結腸軸捻転症に対し内視鏡下整復術を施行されたが、約半年間に3回も再発を繰り返すため外科へ紹介となった。入院時、腹部単純X線像ではS状結腸を中心に著明に拡張した腸管ガス像を認め、いわゆるcoffee bean signであった。以後、この所見を踏まえ、腹腔鏡補助下結腸切除術を施行したところ、患者は経過良好で術後第17病日目に退院となった。
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