発行日 2015年2月1日
Published Date 2015/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2015167440
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62歳男性。既往として幼少時に皮膚科にて神経線維腫症1型(NF1)と診断、54歳時に脳梗塞、62歳時に前立腺肥大症と診断された。今回、排尿困難感を契機に膀胱癌と診断され、精査の腹部造影CTにて小腸に多発性腫瘍を指摘され紹介となった。所見では腹部は平坦・軟で圧痛はなく、腫瘤は触知されなかったが、全身に多発性のカフェオレ斑と数mm大で褐色、弾性軟の神経性線維腫が認められた。また、腹部造影CTでは右上腹部壁に密接して造影効果のある直径4cm、5cm、2cmの腫瘤が確認され、とりわけて4cm大の腫瘤の中心部は変性または壊死と思われる造影不領域と腫瘤辺縁に石灰化が認められほか、5cm大の腫瘤には小腸壁から連続する栄養血管が認められた。更に膀胱左側の広範囲には腫瘍と左水腎症があり、FDG-PETではCTで指摘された腫瘤に一致して異常集積が認められた。以上、これらの所見を踏まえて、かつ膀胱生検より本症例は小腸多発性粘膜下腫瘍と膀胱癌(cTaN0M0、Stage I)と診断された。治療として手術は1cm以上の大きな腫瘤に対し可及的切除+約40cm小腸部分切除が行われ、機能的端々吻合で再建した。だが、残存空腸を中心に数mm大の病変が10数個残存した。一方、泌尿器科により膀胱全摘+回腸導管を用いた尿路変向が施行された。その結果、病理診断では小腸腫瘍はGIST、膀胱癌は尿路上皮癌(TaN0M0、Stage I)であった。
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