発行日 2008年8月1日
Published Date 2008/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2008300512
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76歳女。転倒し、第4腰椎の圧迫骨折で、コルセットを使用していた。突然の意識障害、四肢の冷感を認めた。血液ガスで、軽度の代謝性アシドーシスを認めた。腹部単純CTでは、上部消化管の著明な拡張を認めた。上腸間膜動脈(SMA)症候群によるものと診断し、胃管挿入により多量の内容物を排出し、上部消化管の減圧を行った。各種データの改善とともに症状も軽快した。食事開始より3日後に再び同様の症状を呈した。胃管挿入による上部消化管の減圧処置を行い、症状の改善が得られた。しかし、経口摂取の早期再開は困難なことから、中心静脈栄養を開始した。これに続き、胃瘻の造設を行い、経管栄養を開始するとともに、胃内の減圧を行った。過栄養状態にして体重増加を図り、SMAの分岐角が鈍角となるよう努めた。徐々に経口摂取を進めたが、症状の再燃は認めなかった。
©Nankodo Co., Ltd., 2008